小動物の不整咬合について

うさぎは牧草を食べよう ©NICK WALTARS
うさぎは牧草を食べよう ©NICK WALTARS

 げっ歯類に分類されるウサギやモルモット、チンチラなどの歯について、今回お伝えしていきます。

 

 まず、ウサギ、モルモット、チンチラは切歯(前歯)・臼歯(奥歯)がともに伸び続けます。ウサギは年間で約10cm伸びると言われています。ちなみにハムスターやプレーリードッグは切歯(前歯)のみ伸びます。

 

 歯が伸び続け、適度に摩耗されないと歯が伸びすぎて噛み合わせが悪くなる事を「不整咬合(ふせいこうごう)」と言います。不整咬合になってしまうと様々な症状が現れてきます。

 

 不整咬合によって現れる症状では

  • 食欲の低下

    牧草を食べなくなる、または上手く食べられない。食べ物の好みが変化する。

    牧草など繊維の多い食物を食べていると糞は大きいが、ペレット中心になると小   

    さくなりやすい。その為、糞が小さくなったり、量が減ったりする。

  • 口をクチャクチャ、モゴモゴする事が多い
  • 水を上手く飲めなくなる。(特にケージに取り付けるボトルタイプの場合)
  • よだれが出て顎の下が常に濡れている
  • 涙目になる ⇒痛みがある為
  • 頬や顎の下が腫れている。あるいは目が大きく見える ⇒歯根膿瘍が原因

といった事がみられます。

 

 また切歯が不整咬合になる場合では牧草が上手く食べられなくなり、その為、臼歯も不整咬合になるケースが多くみられます。

 臼歯が不整咬合になった場合は上の臼歯は外側(頬)に、下の臼歯は内側(舌)に向かってトゲ状に鋭く伸び、頬の粘膜や舌が傷つき痛みが出る為、食欲低下やよだれが出るなどの症状が現れます。

 

 不整咬合の処置について。

 切歯(前歯)であれば、通常は無麻酔の状態で動かないように保定し、歯をうさぎ専用の歯切カッターなどで切ります。

 臼歯(奥歯)では麻酔をかけて処置を行う必要があります。ただし食欲が低下し、全身状態が悪化しているケースもあり、必ずしも安全に行える訳ではありません。

 

 ウサギなどの草食動物は食べ物を食べながら腸を常に動かし続け、糞が一定量出ていないといけない動物なのです。不整咬合になってしまうと、食欲が落ち、腸の動きが低下してしまう事で全身状態がすぐに悪化しやすくなり、命に関わってきます。

 また一度、不整咬合になった子は再度なる事が多く、歯科処置を定期的に行なわなければならず、その為に不整咬合にならない為の予防が不可欠です。

 

 では、予防の為にどのような事に気を付けていけばよいのでしょうか。不整咬合の原因で挙げられるものとしては、

 

 1.与える餌に問題がある場合 

  専用のペレットフード、おやつ、野菜や果肉類が給餌の中心となり、牧草を食べる量 

 が少ない。柔らかくて美味しい食べやすい物ばかりだと歯が擦り減らずに伸びすぎてしま

 います。固い牧草を食べると、臼歯ですりつぶしながら咀嚼する為に歯が正常に擦り減っ

 ていきます。

  ウサギのペレット給餌量は、フードや個体によって差はありますが、一日あたりおよそ 

 10~20g/kgです。ペレットフードだけでお腹がいっぱいにならないように気を付けて

 あげましょう

 

 2.外傷が原因で起こる場合

  金属製のケージを齧っていたり、ケージ内で暴れて顔をぶつける事が多かったり、また

 は高い所から落ちて顎をよくぶつけたりしていると、歯根部にダメージが出て歯の伸びる

 方向が変わってしまい、不整咬合になる事があります。

  ケージを齧らせないようにするにはケージ内を内貼りしてガードする事やストレスに

 よって齧っている事もあるのでストレス発散をしてあげる事が必要です。

 

 3.遺伝が原因

  遺伝によって不整咬合になる場合があります。

 

 不整咬合になる原因では 1.で挙げた餌の与え方が非常に多いですね。飼い主は給餌の適切な種類と量を知り、状態をよく観察し、飼育していく事が大切です。

 また特にウサギなどのエキゾッチクアニマルは野生化の環境に近付けて飼育する事がストレスを抑え、健康を保つ一番の方法だと思います。