7月18日より導入いたしました、オゾン発生装置「ペットファイン」。当院のコンセプトである緩和ケアに適した治療法であり、以前から関心のあった機器がいよいよ使用できるようになりました。
オゾン療法は、西洋医学による“症状に対する対処療法”とは異なり、身体機能の根本に働きかけ、全身の機能向上・改善に取り組むことができます。
<オゾンについて>
オゾン(O3)とは酸素原子3個でできた気体です。オゾンは不安定な為、安定した酸素(O2)に変わろうとする性質があり、また他の物質にくっつき自ら安定した酸素になろうとします。その時に1つの酸素原子(O)を放出します。これが酸化反応です。
「酸化」=「良くない」という印象があると思いますが、実際には酸化によって生まれた活性酸素も少量であれば良い働きをする事がわかっています。
この活性酸素は消毒・殺菌・脱臭・漂白に利用されており、洗濯機や空気清浄器でも使われているようです。
<医療でのオゾン利用>
オゾン療法は日本ではまだ馴染みの薄いものですが、ヨーロッパ特にドイツでは30~40年の歴史があります。近年ではオゾン療法の有効性が日本でも広まりつつあります。人はもちろん犬における治癒効果でも世界中の多数の事例から確認されています。
<オゾン療法の効果>
- 細胞代謝の活性化
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免疫機能向上
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抗酸化作用
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消炎鎮痛効果
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血小板凝集阻害作用。
少量の活性酸素は細胞を活性化させ、それにより抗酸化力を高める事が出来ます。その働きを簡略して説明すると、身体にわずかなストレス(この場合は少量の活性酸素)を与える事によって免疫(体の酸化に対する抵抗力、すなわち抗酸化力)を引き出させ、身体を守るという働きです。
また少量の活性酸素が体内に入る事で細胞内のDNA修復を促し、細胞の代謝が活性化します。さらに細胞内に出現した痛みの元となる物質を早い段階で分解し、痛みの元を作らせないようにするという働き・消炎鎮痛効果もあります。
血小板は傷が出来た時に真っ先に出血を止めるべく働く組織です。いわば、傷口を塞ぐ糊です。ただ血小板が異常に凝集すると血管を塞ぐもの・血栓の元になり、血流が閉塞されてしまいます。オゾンはこの凝集を止めるという血小板凝集阻害作用があります。
またオゾンは血管拡張作用に加え、赤血球のヘモグロビンが酸素を放出しやすくなるような働きにより血流が改善します。
上記で説明したこれらの働きが、病気や症状の改善・予防、アンチエイジングに効果があります。オゾン療法は今問題が起こっている部分だけに働きかけるものではなく、全身わたって働きかけることができます。自然治癒力を上げる事で病気になりづらい、あるいは再発しにくい身体にしていく大きな役割を果たす事が出来ます。
<オゾン療法への期待>
加齢に伴い細胞や臓器は少しずつ衰え、身体の機能が低下(老化)してきます。次第に体内で産生される酸化物や老廃物は蓄積され、肝臓や腎臓といった機能の低下を起こしていきます。その結果、免疫力の低下につながり各細胞に負担がかかっていきます。
若い時は食生活、運動機能など生活習慣の中で多少不適切な要素があっても若さでカバーできていました。しかし中・高齢期になるとだんだんそれも難しくなり、症状や病気という形で表に現れてくるようになります。
オゾン療法は幼犬や甲状腺機能亢進症の子には使用できませんが、それ以外の子は副作用がなく安全なものです。 血液を綺麗にする効果やアンチエイジング、歯周病や皮膚などの様々な治療などに利用されています。
高齢だと麻酔のリスクが高くなる為、手術による処置が適応でなかったり、あるいは今までの治療法で効果が得られにくかったりする難治性疾患(腫瘍やアトピーなど)にも用いる事が可能です。
オゾン療法は、従来の西洋医学が得意とする“症状に対する対処療法”とは異なり、身体機能の根本に働きかけることで全身の機能向上、改善に取り組むことができます。それにより身体の老化をゆるやかにし、死期を迎えるまでの生活の質(QOL)を向上してあげることが可能になります。
副作用がなく、様々な効果が得られるオゾン療法は繊細なシニア犬の治療の選択肢としてお勧めいたします。
<有効であると報告された症例>
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腫瘍
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犬アトピー性皮膚炎
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歯周病
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椎間板ヘルニア
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脳神経疾患
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自己免疫性疾患
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心疾患
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動脈循環障害
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ウイルス・細菌などによる感染症
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肝炎
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腎不全
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糖尿病
- 老齢性疾患(認知症など)
<オゾン療法料金のご案内>
オゾン療法は個体差により効果の程が変わってきます。その為、当院では効果を判定するモニター期間を設けております。
☆モニター期間:1~6回まで 500円(税別)
☆通常料金 : 2,000円(税別)