獣医師が出来るケア、飼主が出来るケア

ⓒJessica Keating Photography
ⓒJessica Keating Photography

 それでは、緩和ケアとは具体的にどのようにしていけばよいのでしょうか。

 

 病気の状態から予測しうる現状から今後~最期までを獣医師の観点からお伝えし、それに対して飼主様が我が子に対してどのようにケアしてあげたいのか重要になってきます。

 

 飼主様は「楽に暮らせるようにしてあげたい」とおっしゃられる事が多いですが、どのような場面で不自由を感じているのかは、やはり普段からお世話をしている飼主様にしか分からない事でもあります。 獣医師には具体的にお話し下さると有難いです。

 もし生活面で不自由が出てきた場合、工夫をして暮らしやすい・お世話のしやすいようにする事が大切になってきます。下記は一例ですが、経験上よく質問されるものをあげてみました。

 

 

【ウンチ・おしっこが出ない】

 ウンチが出ないから食欲が落ちてきたと思われる方が多いですが、食欲がなくウンチの元となる食事量が減った為と考えられます。また活動量が減ると腸内の動きも悪くなるのでウンチが出ずらくなる事もあります。

 力んでも出ないというケースは病院で診てもらう事が必要ですが、便秘症の子は別として、本人がしたがらない場合は様子を見てても大丈夫です。ただし本人がウンチやおしっこを出そうと力んでても出ない場合は病院で診てもらいましょう。

 もしトイレでない場所でもらしてしまっても決して怒らないで、「ウンチ(おしっこ)が出てスッキリしたね」というふうに優しく声をかけてあげて下さい。

 

【足腰や筋肉が弱ってきて足が滑る】

 ペットの子が生活する場所がフローリングの場合は、足が滑らないようにカーペットやラグマットなどを敷いて歩きやすいようにしてあげるとよいでしょう。

 

【具合が悪くてシャンプーが出来ない】

 臭いや汚れが気になる場合は、動物用のドライシャンプーを使用して洗ってあげる事が出来ます。ストレスにならないように短時間で少しずつ行うと良いでしょう。

 

【夜泣きがひどい】

 認知症になると理由もなく吠える事があります。毎晩、飼主様も寝られない状況になるとお互い辛くなるので、その時は鎮静剤を投与して眠らせる事が出来ます。ただし副作用がある為、獣医師に相談した上で使用を検討しましょう。

 

【ぐるぐる歩き回る】

 この症状も認知症で起こる行動です。狭い所に入り込んだり、頭をぶつけたりして怪我をする恐れがあるので、サークルなどで囲ってその中を歩かせると良いでしょう。

 

 

 一例を挙げましたが、個々の病気・症状・生活状況によって違いは様々です。また飼主様の想いも人それぞれですので、お話を伺いながらケアの方法を一緒に見つけていく事を行っていきたいと考えています。

 来院の際は飼主様が気付いた事を遠慮なくおっしゃって下さい。