日頃、ペットの歩き方がフラついたりヨロヨロしている事ありませんか?
5歳以上の犬で95%が関節炎を発症しているというデータがあります。「うちの子、もう年だから…」とおっしゃって様子を見る飼主様が多いのですが、様子を見続けている内に関節炎がひどくなると痛みが増して歩けなくなる可能性もあります。特に大型犬は変形性関節症になりやすく、動けなくなると世話が大変になってきますので、早めの予防策をする方が良いでしょう。
では、どういう時に痛みのサインが出ているのでしょうか。
- 起き上がり時の動きがゆっくりで辛そうに見える。もしくはその際に足が痺れたように一時的にびっこを引く事がある。
- 運動をしている時に一時的にびっこを引く事がある。
- 階段などの段差の上り下りを嫌がる。
- 足を拭く時などで足を触ろうとすると嫌がったり、怒るようになった。
- 抱っこを嫌がる。
- 身体をブルブルする時に勢いがなくなった。
- 歩きたがらない。もしくは遊びたがらない。
- 爪の削れ方に変化が見られる。例えば左右非対称に削れる(どちらかの足を庇って歩いている可能性あり)。爪の上部が削れる(足を引きずって歩いている可能性あり)。
- 関節部分をしきりに舐めたりかじったりする。
以上のようなサインが見られる場合はどこか関節を痛めている事があります。
関節炎が引き起こる原因としては、
◎加齢
◎肥満
◎外傷
◎運動不足、運動過多
◎遺伝的要因(犬種) などが挙げられます。
上記のような原因によって関節に負荷がかかり、軟骨細胞が損傷し炎症を引き起こします。軟骨細胞の損傷は軟骨組織をさらに損傷させる酵素を活性化させます。例えて言うならば、割れたスポンジ(軟骨)を直そうとして、割れ目にセメントを塗り固めていくという事でしょうか。その為、症状が悪化し関節が固く動かしずらくなっていきます。
原因によって治療の仕方も変わってきますが、痛みがある時は痛みを無くす治療し、痛みがなくなった後は関節の状態を維持出来るように原因を取り除く予防方法を行います。
肥満であれば減量をする。運動不足なら適度に運動をする(ちなみに散歩は運動に入りません)。運動過多なら運動前にストレッチやウォーミングアップを行う。
ただし加齢や遺伝的要因が原因では原因除去の仕様がありません。
加齢や遺伝的要因の場合、食事やサプリメントによる管理をお勧めしています。もちろんそれ以外の要因でもお勧めです。関節に良いとされるものとしては、
■炎症を軽減する成分・・・抗酸化物質(ビタミンC・E)
脂肪酸(EPA、DHA)
■関節軟骨の再生を促す成分・・・グルコサミン、コンドロイチン
亜鉛や銅などのミネラル分
これらの成分を効率よく取る為には、関節ケア用のフードやサプリメントを利用すると良いでしょう。サプリメントでは特に「緑イ貝(みどりいがい)」が入ったものが効果的です。この貝には関節に良い成分が多く入っており、炎症軽減と軟骨再生を行う事が出来、長期間給与しても副作用の心配がありません。
おやつタイプの関節サプリメントも出ていますので、おやつ代わりに毎日1~2粒あげるというのも良いです。ペットの子が好んで続けられるようなものを色々試してみると良いかもしれません。当院でもおやつタイプのものが試食用にありますので、来院の際に是非お申し付けください。
また爪や足裏の毛が伸びていたり、ご自宅がフローリングだと足元が滑って歩きずらくて関節に負担がかかる可能性もあります。その時は爪切り・足毛カットの処置をする、行動範囲の場所にマットを敷くなどの対処をしてあげましょう。
犬は年を重ねても散歩が好きな動物です。高齢になってゆっくりでも散歩ができるよう関節などのケアをしてあげてくださいね。