皮膚のできものについて

 ペットの身体を触っていたら、何かポツッと(もしくはボコッと)したものが指先に触れるので、何ですか?と病院に来られる方がいます。

 

 今回は皮膚に出来る『できもの』について書こうと思います。

 

 飼い主が触って気付く程度の時は動物本人は気にしていない事が多いです。当然、痛みも痒みもありません。できもので動物が気にし出すような全身症状が出るのはごく稀です。ただし痛みがあるなど全身症状が出るようなものは悪いものが多いですね。

 

 『できもの=腫瘍』ではなく湿疹・化膿や炎症・感染による腫れ、もしくは液体(血液や分泌物)が溜まっているものといった腫瘍ではないものもあります。

 

 まず、できものの内容物が何なのか、おおよそ見当を付ける為にできものに直接、注射針を刺して取れたものを顕微鏡で検査する方法(細胞針検査)を行います。

 

 この検査で下記の二つを判断します。

  ⑴腫瘍なのか、そうでないものか

  ⑵腫瘍であれば手術した方が良いのか、経過観察をしても良いのかどうか

 

 検査により腫瘍だと分かった時のケース別で説明をします。

 

  • 腫瘍が良性と予想された場合

     良性のものは基本的に放置しておいても支障ありませんが、腫瘍の出来る場所

    によっては良性でも大きくなるものがある為、例えば脇の下や目の上、足元にあ

    る腫瘍が大きくなり、動物本人が気にして舐めたり咬んだりして生活上、支障が

    出てきた際は手術で除去する事も有ります。

 

  • 腫瘍が悪性と予想された場合

     悪性の場合は手術でその部分を除去したとしても、同じ場所や他に転移する可

    能性があり、転移した先によって身体に悪影響を与え、全身症状が出るケースも

    ありますので、早めの手術をした方が良いと思われます。

 

 手術で摘出したものを病理検査に出し、さらに腫瘍の種類と良性・悪性かを詳しく調べる事が確定診断となります。

 

 

 特別に検査をしたくない(出来ない)時は経過観察する場合もあります。できものの大きさが時間によって変化があるのかどうかを観察します。

 良性腫瘍のものだと大きさの変化が少ない事が多いです。しかしながら大きくなっていくようであれば悪性腫瘍の場合がありますし、小さいままでも悪性という場合もありますので、ご心配であれば検査をお勧めします。

 

 腫瘍以外の炎症や感染では、大きくなる事もあれば、自然と小さくなるものもあります。当然小さくなって消えていくものであれば腫瘍ではない事が分かります。当然大きくなるものならば、薬による治療が必要となります。

 

 

 また「何かできものがある」といって来院された中には「できもの」ではなかった事もありました。

 

 ○ マダニだった

 〇 かさぶたになっていた

 〇 ご飯粒などのゴミが付いていた

 〇 乳首だった

 

 マダニの場合は無理にはがさない方が良いので受診をお勧めしますが、かさぶたやゴミの時はよく確認する事をお勧めいたします。