野良猫・犬を迎え入れるにあたって

こんな子犬や子猫が捨てられていたら拾ってしまうのは当然です      ⓒAnivas
こんな子犬や子猫が捨てられていたら拾ってしまうのは当然です      ⓒAnivas

 ここ最近、野良猫を拾って自宅で飼われている方の来院が多くなりました。
 ご自宅に迎え入れる前に必ず動物病院での健診をお勧めいたします。

 理由としては、ヒトにも移る可能性のある感染症や寄生虫を持っている事があるからです。また先住動物がいる場合は特に注意して頂きたいと思います。

 

 

 

下記は寄生虫についての説明です。

  • 皮膚糸状菌症

   真菌(カビ)の仲間である皮膚糸状菌に感染する事で、顔や耳・足に円形の脱毛

   やフケ・かさぶたなどの症状が出る病気です。子猫や免疫力が低下している猫に

   発症しやすくなります。人間にも移ります。

   すでに感染している犬・猫や人など接触する、もしくは菌がいる環境内で身体に

   皮膚糸状菌をくっつけてきたりすると感染する恐れがあります。

   治療としては抗真菌薬(内服・軟膏)、抗真菌薬用シャンプーを使用します。

 

  • 疥癬(カイセン)

   ヒゼンダニが寄生し、顔や耳に脱毛や発疹が出来、フケやカサブタが出るように

   なり、痒みが出る病気です。症状が広がると背中・腹部・足などにも出ます。

   屋外でヒゼンダニに感染している動物と接触した後に家に持ち帰り、ペットに感

   染する恐れがあります。

   人には移りませんが、ダニアレルギーが引き起こり、かゆみなどのアレルギー症

   状が出る場合があります。

   治療としては駆虫剤を注射します。同居している動物がいる場合は同じく駆虫剤

   を使用する必要があります。

 

  • 寄生虫

   条虫や回虫などの消化管に寄生する虫がいる場合、下痢や嘔吐・腹痛などの症状

   が現れますが、少数の寄生では全く症状の出ない事も多く見られます。寄生虫   

   が便と一緒に出て来る事もあり、その際に触れた手を洗わずにいると経口感染する

   恐れがあります。

   治療としては駆虫剤を投薬します。

 

 

 「動物を触ったら手を洗う事」が一番の予防になります。

 拾ってきた動物に症状が出ていなくても感染症の潜伏期間である可能性がありますので、1~2週間程度は同居動物との接触を避けるなどの対応をして頂ければと思います。

 自宅に飼育している動物が既にいて、拾った動物を入れたが為に、先住動物に病気が移り、最悪のケースで死に至ってしまったという事もあります。可哀想だからと安易に迎え入れず、しっかりと知識を持った上での対応をお願いいたします。

 

 

 

 しかしながら野良猫・犬が良くないという事ではなく、野良の子でも、きちんと健診や治療をする事でおうちの中で飼育出来ますので気を付けてあげましょう…という事です。誤解のないように補足させて頂きます。