健康診断の血液検査について

 当院では年に2回(春と秋)、健康診断として血液検査を実施しております。

 特にこの春の時期は、ワンちゃんのフィラリア検査で採血を行う機会がありますのでお勧めしております。

 

 大人のワンちゃん猫ちゃんは人間の年に換算すると、一年に4~5歳年を取っていくといわれております。ですので、年に1~2回血液検査を行う事は決して多くはないと思います。見た目健康そうであっても、実は病気が進行しているという事が時々あります。特に肝臓・腎臓は病気が進行しないと表に症状が現れづらい沈黙の臓器ですので、早期発見して早めの治療を行う事が大切です。

 

 今回は当院での健康検査で行う血液検査の項目は、どのようなものかをお伝えします。

 

 

  • 総蛋白

   肝臓・腎臓の機能や栄養状態などを示します。

   肝・腎疾患、多発性骨髄腫、感染症などで異常値を示します。

  • アルブミン
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   血液中の血清に多く含まれる蛋白質で、肝臓で合成され腎臓でろ過されます。

   肝疾患や栄養不良などで低下、脱水で上昇します。

  • 総ビリルビン

   ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンが壊れる事により発生する色素。

   肝疾患や黄疸で上昇します。

  • AST(GOT)

   主に肝臓に多く含まれる酵素で、心臓・骨格筋にも含まれています。

   肝疾患や心疾患などで上昇します。

  • ALT(GPT)
  •  肝臓に多く含まれる酵素で、肝疾患では有力な指標となります。 
  • ALP

   エネルギー代謝に関わる酵素の一つで、ほとんどの臓器や組織で作られます。

   特に胆道系に多く含まれるため、主に肝胆道系疾患で上昇します。

  • γーGTP(ガンマ-GTP)
  •  肝胆道系疾患の検査です。犬・猫ではごく微量しか検出されません。
  • 尿素窒素(BUN)

   主に腎機能の指標として用いられます。

   腎臓病・腎不全で上昇しますが、高蛋白な食事・消化管出血などでも上昇します。

   また、肝不全で低下します。

  • クレアチニン
  •  筋肉から産生され、腎臓でろ過されて尿中に排泄される物質です。

   腎機能が低下すると上昇します。

  • 総コレステロール

   細胞膜や血管壁の構成、副腎皮質ホルモン・性ホルモン・胆汁酸を作る材料です。

   副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、糖尿病、胆汁鬱滞、

   食事性などで高値となります。また、肝障害などで低値となります。

  • 中性脂肪
  •  生体エネルギーの貯蔵と運搬に関与しています。

   肥満、糖尿病、甲状腺機能低下症、胆汁鬱滞、食事性などで高値になります。

    

   ※総コレステロール・中性脂肪値は8時間以上の絶食でない場合、測定結果が

    高くなる事が多いです。

 

  • カルシウム

   骨の代謝だけでなく、筋肉の収縮・血液凝固にも必要な物質。

   上皮小体機能低下症・腎不全・ビタミンD欠乏などで低下し、

   上皮小体機能亢進症・腎不全・腫瘍・ビタミンD過剰などで上昇します。

  • 無機リン

   カルシウム調節ホルモンの影響を受けて代謝されています。

   腎不全などで高値になり、ビタミンD欠乏・吸収不良などで低値になります。

  • 血糖
  •  主に脳や筋肉のエネルギー源で、車に例えるならガソリンのようなものです。

   糖尿病で高値になり、肝不全・膵臓腫瘍・飢餓状態などで低値となります。

  • リパーゼ
  • 脂肪を分解する消化酵素です。主に膵炎で上昇します。

 

 

 血液検査だけで全ての病気を見つける事は出来ませんが、病気の早期発見につながる事がありますので、特に中高齢になってきた子にお勧めしたいと思っております。

  健康を保ちながら四季折々を一緒に楽しんでいきたいものですね。