病気は予防から…犬のワクチン接種のすすめ

 春は予防接種のシーズンです。特に犬は予防の種類が多い為、予防のし忘れがないよう飼主様に気を付けていただきたい事です。

 今回は、ワクチン接種によって予防できる病気について詳しく書いていこうと思います。ホームページ内でも「予防接種について」の案内がありますので、併せて読んで頂けると幸いです。

 

 

■ 犬ジステンパー

   40度以上の高熱、目やに、鼻水が出て、元気や食欲がなくなり、嘔吐・下痢といっ  

  た消化器症状も出ます。病気が進行してくると、神経系が侵され麻痺などの後遺症が 

  残る場合があります。死亡率の高い病気です。

   またフェレットにも移る病気です。フェレットも予防接種が必要となりますので

  ご希望の方はご予約下さい。

 

 

■ 犬パルボウイルス感染症

   激しい嘔吐や下痢を起こし、食欲がなくなり、急激に衰弱してきます。重篤化した

  場合、脱水症状が進み、短時間で死亡する事があります。伝染力が非常に強く、死亡 

  率が高い病気です。

 

 

■ 犬アデノウイルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎) 

        発熱、食欲不振、くしゃみ、鼻水、短く乾いた咳といった風邪のような症状がみら
  れます。悪化すると肺炎を起こし死亡する可能性もあります。またの名を「ケンネル
  コフ」とも呼ばれます。

 


 

■ 犬パラインフルエンザウイルス感染症

   犬アデノウイルス2型感染症と同様に、風邪に似た症状がみられます。混合感染や
  二次感染が起こると重症化しやすく、死亡することもあります。伝染性が非常に強い
  と言われています。

 

 

■ 犬伝染性肝炎

   肝臓に炎症が起こり、発熱、嘔吐、下痢、腹痛などの症状がみられます。軽度の場
  合は軽い発熱や鼻水が出る程度ですが、重度の場合は肝臓の機能不全による肝性脳症
  や低血糖からくる神経症状や出血傾向がみられます。また脳炎が起こることもありま
  す。生後1年未満の子犬が感染すると、死亡する可能性が高くなります。
   回復期にはブルーアイ(角膜が浮腫を起こし、青白く濁って見える)や前部ブドウ
  膜炎が見られます。これは通常回復していきますが、時に緑内障や角膜潰瘍に進行す
  ることがあります。

 

 

■ 犬コロナウイルス感染症

   犬コロナウイルスの病原性は弱く、成犬に感染しても症状の現れない事が多いで
  す。症状が現れた場合は軽い下痢や食欲の低下、嘔吐といった症状が見られます。  

   ただし子犬が感染した場合は、症状が強く現れることがあり、下痢が長引く場合は
  脱水症状を起こしやすくなりますまた他の病気との混合感染では重症化する事もあ
  ります。
  

■ 犬レプトスピラ感染症

   人獣共通感染症(ズーノーシス)です。山奥にいる野ネズミの糞尿からレプトスピ
  ラという細菌に感染し発症します。
   レプトスピラにはカニコーラ型とイクテロヘモラジー型があります。

   カニコーラ型は高熱、食欲不振、結膜の充血、嘔吐や血便などの症状が現れ、末期
  には脱水や尿毒症を起こし、2~3日以内に死亡することがあります。
   イクテロヘモラジー型は黄疸、嘔吐、下痢、歯肉からの出血などの症状がみられま
  す。症状の重いことが多く、ひどい場合は発病後わずか数時間から数日で亡くなるケ
  ースも見られます。

   現在、北海道で感染したとの報告は受けていないのですが、山奥に行かれる方や道
  外の犬との接触がある方は積極的に予防した方が良いと思います。

 

 

 混合ワクチンの種類がいくつかあります。

  • 5種で予防できる病気

   犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬アデノウイルス2型感染症、

   犬パラインフルエンザウイルス感染症、犬伝染性肝炎

   5種は伝染性・死亡率が高いものを予防できる最低限のワクチンになります。

  • 6種で予防できる病気

   5種に犬コロナウイルス感染症を追加したもの。

  • 7種で予防できる病気

   5種に犬レプトスピラ感染症(2種類)を追加したもの。

  • 8種は上記の病気全てを予防できます。

 

 当院では、飼主様とワンちゃんの生活の様子をお聞きして、どの種類のワクチンが合うかを相談させて頂いています。また年一回の追加接種と共に健康診断も合わせて行っています。

 万が一病気にかかった場合、死に至るケースがあります。また病気になった事で治癒するまでに動物の苦しむ時間が長くなるという事もあります。このような病気をワクチン接種により予防する事で、病気の苦しみから動物を解放してあげ、さらに飼い主様と一緒にいられる時間をより長くして頂きたいと思います。

  

©Nungruthai pochree
子犬の時から予防してあげましょう