骨折子猫と情熱的な人との出会い

先日、左前足・左後足を骨折した子猫が病院に来ました。

飼い主でない方が連れて来られたのですが、お話によると、およそ4ヶ月の子猫が工業地帯の中にうずくまっていたそうです。

その周りは何十Km先にしか民家がなく、関係者以外立ち入り禁止で子猫が一人でさまよってくるような場所でもないようです。

おそらくですが、骨折した子猫を邪魔に思い、誰かがその場所に捨てた?という切ない状況が頭によぎりました。

 

拾い主のご夫婦は、とにかく骨折してぐったりしている子猫を助けてあげたいという気持ちでした。ただ骨折は手術の必要性があり費用面で負担が大きい事、治療後にその子が暮らしていける場所を作ってあげる事を考えないといけませんでした。

そのような事を話し合い、拾い主の方は大型犬を飼ってらしたので、相性などを見て自分の所で子猫を飼うか、もし無理そうならば里親を探すという方向で、また費用の負担をする事で手術を行う決意をされました。

 

子猫の手術は、前足の肘部分も折れていたのですが固定のみで回復の見込みがある為、大腿骨の1ヶ所を行いました。前足と後ろ足を固定される動きずらい格好になりましたが、2週間程の入院生活の間に何とか慣れてくれました。おしっこもなるべく体を汚さずに出来たりと器用なものです。

 

ただ入院の間、病院の者に心を開いてくれる事がなく毎朝、挨拶代わりの「シャー!(威嚇)」でしたが、お見舞いに来てくれる拾い主の方には甘えていました。さらに拾い主の大型犬の子ともご対面をさせてみた所、お互い驚いたり怖がったりする事もありませんでした。これは一緒に飼えそうだという事で、めでたく拾い主のご夫婦が飼い主となりました。

飼い主さんは、猫を初めて飼うらしいので退院までの間、本などで猫を飼う勉強をしっかりされていましたよ。とても頼もしい方です。

 

現在、ギブスもすっかり外れ、筋肉のつき方などでまだ後ろ足が完全でないのですが、日常生活を送る上で全く支障なく、大型犬の子ともそつなく仲良く暮らせていると毎度お話を伺ったりしています。最初の頃と比べると、子猫の顔つきが穏やかになっており、幸せそうで良かったな~と思います。

 

ついこの前には去勢手術の方も行い、せっかく取れたエリザベスカラーを再びつける事に…。しかし今日、抜糸をし、晴れて自由の身となりました。

これで骨折治療から予防までと一通りの事が一段落つける状態になり、今後病気も怪我もなく、飼い主さん達とワンちゃんと仲良く幸せに暮らしていってほしいものです。

 

 

何かの縁だったのでしょうか、たまたま出会った子猫の為に出来る事を行った飼い主のお二人から感じた熱い気持ちや動物に対して一生懸命に接してくれている何とも嬉しい出来事でしたので、こちらでご紹介させて頂きました。

 

去勢手術の抜糸後に撮影
去勢手術の抜糸後に撮影

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コメント: 1
  • #1

    fです。 (日曜日, 11 11月 2012 15:53)

    先生この度は、本当にお世話になりました。先生の助けがあってこそテルが元気になり幸せな日々を過ごせております。 押し掛け同然、初診にも関わらず的確な判断、アドバイスをいただき本当に感謝しております。今のこのご時世、飼い主の都合で勝手に捨てられたり最後迄責任を持たない人があまりにも多い気がします。 それぞれ事情があるでしょうが命の重みに勝る事情はないと思います。人間の勝手気ままによって犠牲になるペットが少しでも減っていってくれたら…。  これからもお世話になりますが宜しくお願いします。 本当にありがとうございました(^_^)