最近、秋めいてきて、すっかり寒くなってきましたね。しかし気温が下がると高齢の子・特に心臓病持ちの子は血管が収縮しやすくなりますので、体調の変化に気を付けた方が良い時期でもあります。
今回は「心臓病」についてお伝えしたいと思います。心臓病と言ってもあまりピンと来ない方が多いのではないでしょうか。まず心臓の働きについてから説明しましょう。
- 全身に血液を送るポンプの働きをしている。
- 全身に酸素と栄養を届ける。
- 年中無休、一生働き続ける臓器である。
このように心臓は身体にとって欠かせない働きをしている臓器である事が言えます。
その心臓に何がしかの支障が出始めるとどうなるのでしょうか。
心臓病の初期は症状がほとんどなく、聴診器で心雑音が聞こえる程度です。獣医師でないと確認できません。
中期、病気が進行してくると、安静時には無症状であっても散歩などの運動時に咳や息切れといった症状が表れてきます。
さらに進むと普段の生活でも症状が出始め、中程度の腹水や胸水が溜まる場合もあります。この状態では運動制限が必要となります。
末期になると安静時でも症状が出、重度の腹水・胸水といった状態になり、絶対安静が必要となります。
犬では僧房弁閉鎖不全症や拡張型心筋症など、猫では肥大型心筋症などが心臓病で多く見られます。いずれも心臓のポンプ機能が上手く働かなくなる病気です。
残念ながら心臓はいったん悪くなると元の状態には戻りません(不可逆性)。
心臓の機能が低下してくると、全身に血液・酸素・栄養を送るために血管を細くして、勢いをつけて送ろうとします。
例えて言うならば、水を撒くホースの先を細くつぶして勢いよく遠くまで水を飛ばそうとするのと似ています。
その為に心臓が頑張って負担がかかり、さらに機能が低下、さらに血管を細く・・・という魔のサイクルになってしまいます。
少しでも心臓に負担をかけない為には、状態に合わせたその時々の対処療法をする事が必要になります。
- 腹水や胸水などが溜まりにくくする為に、塩分の制限。
- 肝臓や腎臓への代謝負荷を軽減する為に、蛋白質の制限。
- 心臓病にかかった場合は痩せないように、必要カロリーの摂取。
- 末梢の血管を広げ心臓にかかる負担を少なくする為に、毎日の投薬。
上記などの方法を行いながら心臓病の進行を抑えていきます。
心臓病はすべての犬の10~15%がかかると言われており、10歳以上の犬で30%以上というデータがあります。犬の死因の第2位(1位は癌)になっています。また95%が後天性とも言われており、日常生活で気を付ける事が大切とも言えます。
高齢、肥満の子は特に病気になりやすいので、病院で定期的に心臓を含めた全身の健康診断をおすすめします。
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