太ってる?痩せてる?

 もうすぐ10月。北海道は秋シーズンに入り、そして迫りくる雪の気配…。

 雪が降り始めると、どうしても外に出るのが億劫になり、人も犬も運動量が減りがちです。食事量は普段と変わらないのに冬だけ運動量が減るという事は・・・

 摂取カロリー>消費カロリー →体重増加→肥満

という公式が成り立ちます。書いている私も身がしまる思いです・・・。

 

 さて皆さんは、ご自分のペットが肥満かどうか区別がつきますか?ご自宅で体重を測られた事はありますか?

 適正体重はその動物の種類や体格で違いがあるので、何とも答えられません。

 肥満なのかを診断するには、下記のボディコンディションスコア(BCS)と呼ばれる表を参考にします。

 

ロイヤルカナンジャポンより抜粋
ロイヤルカナンジャポンより抜粋

 直接、身体を見て触って判断します。

 触る時はなでるように触り、肋骨がわかるかどうか。また皮下脂肪はどうか。見る時はウエストあたりにくびれがあるかどうかをチェックします。

 

 そこで表の「太り過ぎ」「肥満」に当てはまるようでしたら、健康維持を考えての減量を行った方が良いでしょう。

 『今は何も病気をしていないから』『ちょっと太っていた方が可愛く見える』とおっしゃる方もいますが、肥満は病気のリスクが高まります。

 

 【肥満犬の場合】

 心臓・腎臓の循環器障害   

 関節・運動器官の障害

 皮膚疾患

 繁殖障害

 癌

 糖尿病

 その他、免疫機能の低下・外科手術の危険性の増大など

 

 【肥満猫の場合】

 糖尿病

 関節炎

 皮膚炎など

 

 上記のような病気のリスクが高くなります。肥満は万病の元です。頑張って痩せさせる事がペットの命を守ります。

 

 では、ペットが太り過ぎ~肥満の場合、太ってしまった原因は何でしょうか?

 動物は自分では太りません。大変申し上げずらい事ではありますが、オーナー様がペットを太らせているのです。ペットの日常生活で消費しきれないカロリー以上のフード量、それに加えておやつや人の食事をお裾分け・・・といったものを与えていると必然的に体重が増加します。

 家族が多いとなおさら太りやすい環境になります。4人家族でひとりが与えるおやつ(例としてビスケット1枚)を家族の皆が1匹の犬にあげたら1日でビスケット4枚を食べたことになりますね。これだけでもかなりのカロリー量です。おやつでお腹が一杯になったら、人でしたら食事を残したりするかもしれませんね。ところが犬は特に与えられたら与えられた分だけ食べてしまいます。普段からおやつを与えている方は、おやつを一日どの位与えているのか、家族全員が把握する必要があります。

  

 またメスはオスよりも太りやすい体質です。さらに去勢オス・避妊メスは太りやすくなります。これは性ホルモンが関係しており、去勢・避妊する事で性的欲求が抑えられ

その分の欲求が食欲の方にいってしまうと言われています。

  

 太った原因がわかったら、次はどのような減量をしていくかを考えましょう。

 痩せる為には、 消費カロリー>摂取カロリー となれば良いのです。消費カロリーを増やす(運動療法)もしくは摂取カロリーを減らす(食事療法)の2パターンがあります。しかし摂取カロリーを減らす(食事療法)で行ってはいけない方法がいくつかあります。

 まずは絶食です。絶食をさせると、不足分の蛋白質を体内から得ようとする為に毛艶が悪くなったり筋肉が落ちたりして健康を損なう可能性があります。また猫は絶食をすると「肝リピドーシス」という脂肪肝になり肝機能が低下する恐れがあります。その為に絶食という手段での減量は行ってはいけません。

 次に普段の食事の量を減らすという方法。こちらは行っても大丈夫そうなイメージを持つと思われますが、摂取カロリーが減る事で必要な栄養素も減るという事になります。そうなると食べてはいるけれど栄養不足になる可能性があります。

 

 適切な減量を行うには、減量専用フードを使用する事が望ましいです。そのようなフードは低カロリーで必要な栄養素を満たしてあります。健康を維持したまま、減量をすることが出来ます。ただし市販されているものではないので、動物病院で処方してもらう必要があります。その際に減量プログラムを獣医師と相談しながら作成・実行していくと良いでしょう。

 ただし肥満の子で病気がある場合は、減量すべきどうかを獣医師に相談してからにしましょう。 

 

 

 肥満に当てはまらないペットや減量に成功したペットは今後太らない為に、おやつをあげすぎない、一緒に運動をするなど日々気を付けてあげましょう。

 また、去勢・避妊手術を行ったら太りやすくなるのでフードの種類・量を考えましょう。避妊・去勢後用フードもあります。

 

 

「おやつや食事を与える=愛情」ではなくて、飼主とペットが適切な関係で健康であり、そして生活を共にする事が一番の愛情だと私は考えます。

 

 

      

© Jessica Keating Photography
© Jessica Keating Photography