皮膚病について

夏の時期は皮膚に症状が出やすい時期です。

高温多湿になりやすく蒸れやすいので、皮膚疾患が多くなります。

 

動物がかゆがる・舐める行為を頻繁にする、フケ・脱毛、オーナー様が湿疹・赤みに気づくなどで皮膚に異常が見つかる事があります。

その場合は様子を見てそのまま治るケースもありますが、悪化するケースがよく見られます。

 

皮膚病の代表的なものを挙げていきます。

 

【膿皮症】皮膚のバリア機能が低下した時に細菌感染を起こした状態。症状としては湿疹・赤み・痒みが出ます。症状が現れた場合、軽度であればほっておいても治る事がありますが、症状が広がるなどで悪化するケースが多々見られます。治療法は抗生剤・塗り薬処方、薬用シャンプーを行います。

 

【マラセチア性皮膚炎】環境中・体表に常在する酵母菌の一種。ジメジメした環境が大好きで数が増えてくると悪さをします。人・動物にうつりません。症状としては主に皮膚の柔らかい部分(腋・股・耳など)での炎症・痒みです。治療法は抗真菌剤処方、薬用シャンプーを行います。

 

【犬アトピー性皮膚炎】草木・花粉・ハウスダストなどの環境中のアレルゲンによるアレルギー反応。症状は、1~3歳の間に発症するのが一般的で、わき・股・足周り・耳などに痒みが出ます。アレルギー検査を行いアレルギーの原因を見つける方法が確立されてきました。治療法は、抗ヒスタミン剤やステロイド剤の投与、シャンプー・塗り薬などの外用で改善・維持を目指します。

 

【食物アレルギー】食物に含まれる蛋白質によるアレルギー反応。症状は1歳未満に発症するのが一般的で、口周り・目の周り・背中・肛門周囲・足周り・耳などに痒みが出ます。犬アトピー性皮膚炎同様、アレルギー検査で原因を見つける方法が確立されてきました。また、除去食と呼ばれる処方食で検査する方法もあります。治療法は、抗ヒスタミン剤やステロイド剤の投与、シャンプー・塗り薬などの外用で改善・維持を目指します。

 

【その他】痒みがなく左右対称に脱毛が多い場合は内科疾患の可能性があります。また部分脱毛の場合は寄生虫や皮膚糸状菌症などの真菌症を疑います。こちらの疾患は人や動物にうつる事があります。

 トリミング後に痒がる場合はシャンプー剤やバリカンなどの刺激の可能性があります。その場合はシャンプー剤を低刺激のものに変える・バリカンを直接肌に当てないようにする事で痒みなどの症状を抑えられる事があります。

 

 動物は少し痒いのか、あるいはすごく痒いのかといった痒さの程度を伝える事が出来ません。オーナー様が気になるペットの痒さがその子の痒さの程度になります。その為に治療法も、かかる費用も変わってきます。どのような痒さなのかをオーナー様から伺って治療方針を相談しながら治療を進めていきたいと考えています。